イタリア:旅のスケッチブック

イタリアを旅したり暮らしたりしながら、つれづれに描いたスケッチなど。

2020年07月

London
そもそもイタリアへ留学する前に学校を調べている段階ではイギリスとスイスとイタリアの三つの学校を候補にしていました。当時、イギリスの学校は東京のブリティッシュ・カウンシルというところで入学試験が受けられるというメリットがあったのです。
しかし人生初の社会人留学、行った先で学びについて行けるのか?という不安もありました。インターネット普及前夜のことですから言ってみないと分からないことだらけです。
「学校で落ちこぼれたときに救いになるものはなにか?」美しい景色と美味しいご飯があれば、きっと乗り切れる。むしろ、学業も食事もお天気もダメでは浮かぶ瀬がありません。
あまり前向きではない理由が決め手となってイタリアへ留学を決めたのでした。

londonbridge

ミラノからロンドンまでは飛行機で約二時間、気軽に観光に行けると思うと世界有数の大都市だけについつい後回しになってしまいます。結局ロンドンには二、三回足を運んだ筈なのですが、まとまった時間をとることができず、消化不良のままとなりました。

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空港のパスポートコントロールではイタリアと違って根掘り葉掘り質問されるのに困惑しましたが、いざ訪れてみると落ち着いた雰囲気のリーズナブルな宿もあり(大学寮のホステルでした)、地下鉄も快適で楽しく散策できました。
残念なのは、名だたるミュージアムをじっくり鑑賞できなかったことです。

museum

食事は…朝ご飯は聞き及ぶとおり適当なボリュームで悪くないのですが、
breakfast

たまたま航空会社のCAをしていた友人に案内してもらったときのディナーは、友人がわざわざ「イギリスの普通のレストランだとこんなものだよ」というのを教えてくれる為に選んでくれただけあって「なるほど、美味とはいえないな…」という、お約束通りの経験となりました。

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こんなスケッチもあります:

Lyon
すぐお隣の国ではありましたが、フランスにはあまり縁のないまま、結局足を運んだのはパリともうひとつ、リヨンの二都市にとどまりました。

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パリではほとんど美術館巡りに明け暮れましたが、南仏の古都リヨンは、ミラノに留学していた友人の案内で遊びに行くことが出来たので週末の短いひとときとはいえ街の風情を楽しむことが出来ました。

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リヨンは古くから美食の街として有名なのだそうです。二つの大河が交わり経済的にも豊か、食材にも恵まれていることが地の利となったとか。
友人が連れて行ってくれた小さなレストランで何を食べたかは曖昧ですが、こってりとしたソースのうまみが記憶に残っています。

もうひとつ、リヨンは建築デザイン、都市デザインに優れた街でした。歴史的建造物の多いところですが、修復改装にあたって大胆にモダンなデザインを組み合わせたり、特に光(照明)を建築物や広場で効果的に使って、目に楽しく都市の安全性にも貢献している様子に感心しました。

opera

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「光のフェスティバル」というイベントもあるようですね。

最近は世界中でプロジェクションマッピングなども珍しくなくなりましたが、1990年代から都市の照明デザインの先頭でいろいろな実験をしている様子に、イタリアとは違った刺激を受けたことをよく覚えています。

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こんなスケッチもあります:

RothenburgB
ドイツは南欧に比べると建物が石造りと言うより木造の文化があるように思います。童話にも出てきますが、うっそうと深い森の国なのですね。壁面に焦げ茶色の木組みが見える建物がなんとなくドイツっぽい、という気がします。

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屋根の形にもお国柄があるのでしょうか、目玉のたくさんあるオバケのように見える大屋根の民家もそこここで見ることが出来ます。

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ローテンブルグで印象深かったもののひとつが、中世の刑事博物館でした。

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簡単にいえば中世の刑罰や拷問に関する品が陳列されていて、なかなかおどろおどろしいのですが、陳列ケースの中に「拷問道具の取扱説明書」が展示されているあたりは「さすがはまじめなドイツ」という感があります。

chair

また、軽犯罪に対する刑罰として珍妙な鉄の仮面をかぶらせ辻にさらす、というものがあったようです。

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…イタリア人には効き目のなさそうな刑罰かな?と思いながら、ヨーロッパの中世に思いをはせた一日でした。

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こんなスケッチもあります:


RothenburgA

フィレンツェのホームステイ先で最初に仲良くなって色々助けてもらった友人がドイツの人だったので,その後もドイツにはプライベートでも仕事でも出かける機会は多かったのですが、不思議とスケッチはあまり描いていませんでした。
手元に残る数枚のドイツでのスケッチは、フランクフルトからミュンヘンまで一人ロマンチック街道をバスで旅した途中で泊まった小さな町、ローテンブルグの町並みです。中世の城壁都市の面影がそのまま残っていることで人気観光スポットなのだとか。
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グリム童話に出てくるドイツの町のイメージ、というところでしょうか。

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バスは町の城壁の外に止まり、門をくぐって小さな町の中に入ります。イタリアにも意匠こそ異なりますが、同じような城壁で守られた小都市は多いので、ちょっと親近感がわきました。

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東京にせよミラノやフランクフルトにせよ、ある程度近代化された大都市は暮らしやすいですが、こんな小さな昔風の町ならではの豊かさも捨てがたいものです。

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こんなスケッチもあります:

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