イタリア:旅のスケッチブック

イタリアを旅したり暮らしたりしながら、つれづれに描いたスケッチなど。

2019年03月

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フィレンツェでイタリア語を学んだ学校では、語学以外の学びについてもいろいろなオプションがあって、希望者が参加できるしくみになっていました。
ルネサンスの絵画や建築を見学する半日のツアーだったり、フィレンツェ郊外のトスカーナの小都市を回ったり、いろいろ楽しい経験でしたが、ある先生はフィレンツェの名物料理を楽しむ夕べを催してくれました。

フィレンツェを含むトスカーナ地方はキャンティなどワインが有名ですが、食に関して言えば生ハム、ソーセージ、モツ料理、圧倒的に「肉」が挙げられます。
「フィレンツェ風ビフテキ(bistecca fiorentina)」は要するに骨付きの炭火焼きビフテキですが、赤身肉のしっかりした食感で、確かに美味でした。
みんなで「美味い美味い」と食べながらスケッチした(酔っ払っている?)のでタッチが雑ですが・・・


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だいたいどこのレストランにいっても、このビフテキはかなりの大きさで出てきます。
別の機会に日本からのお客さんを案内してビフテキを注文したら「ミニマムサイズは700グラム」といわれてビックリしました。

だいだい、ビフテキしか食べないわけではなく、前菜やパスタを楽しんだ後の主菜、となると、「こんなに食べられません(泣)」という人も多そうです(一緒に行った友人は、美味いけど多すぎるだろ!と怒っていましたが)。

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レストランは中心部にあって、居酒屋的な気取らない雰囲気と観光客慣れしている接客で(イタリア人の応対なので適当なところはあります)よいお店でした。

・・・あれやこれやの末のビフテキでおなかがはち切れそうになっているところで、デザート(一人分がお豆腐一丁くらいの大きさのティラミス)が出てきて「もう無理」と思ったら、近くの学生(ドイツ人だったかな)が「お代わり!」していたのに心底驚きました・・・

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こんなスケッチもあります:

Bobiri
ポンテ・ベッキオを渡ったウフィッツィの対岸、ピッティ宮殿の後ろに広がる「ボーボリ庭園」です。

やや傾斜した広大な敷地に広がる、ほぼ左右対称の庭園が見事で、はじめて訪れたときに「映画で見るヨーロッパの庭園そっくりだ」と感じた覚えがあります。
どちらかといえばイタリアではフランスやオーストリアのような左右対称型庭園デザインを見ることは少ないお国柄だと思います(古代ローマの庭園遺跡のデザインが素晴らしすぎるせいかも)が、「らしからぬ」ボーボリ庭園が完成したのが18世紀頃(着工は16世紀?)とルネサンスより時代が下っていて、フランス王国の影響がフィレンツェにも強かったことと関係があるのかもしれません。

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建築史の本だったかと思いますが、庭園の中で見かける不思議な鍾乳洞のようなデザインの構造物について、「グロッタ様式」と呼ぶとありました。
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グロッタとはイタリア語の「洞窟」を意味するのですが、この言葉から「グロテスク」という言葉が生まれたとか。

私たちもいまや全く無関係な文脈で日常的に使う単語と、この庭園が結びついているのかもしれません。

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そんな視点で見ると、確かに一人で散策したら異界へ迷い込みそうな怖さも感じられます・・・

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こんなスケッチもあります:

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旅の出発点にもなり終着点にもなる、フィレンツェ中央駅のホームです。

・・・フィレンツェでの生活がはじまったばかりの頃は、ペン画に色鉛筆で彩色しておわりにしていたのですが(上はその頃の一枚です)その後、水彩色鉛筆(彩色してから水を含ませた筆でなぞると水彩絵の具のようになる)だったことを思い出して以後、筆で仕上げるようになりました。

フィレンツェ市内にはいくつかの国鉄(当時)の駅があり、主要都市を結ぶ急行や長距離列車などは殆どがこの中央駅「サンタ・マリア・ノヴェッラ駅」を経由します。
ルネサンスの古都フィレンツェではありますが、この駅舎はモダン建築の名作として知られています。

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中央駅の呼称「サンタ・マリア・ノヴェッラ駅」(S.M.N.とも)の由来は、ちょうど駅舎がフィレンツェのルネサンス建築の代表作のひとつとして名高いサンタ・マリア・ノヴェッラ教会の裏手に位置するからでしょう。
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教会は、レオナルド・ダ・ヴィンチ以前に「ルネサンスの万能の天才」と呼ばれた、レオン・バッティスタ・アルベルティの設計だそうです。

中央駅から教会の近くまでは地下通路があり、近年ようやく整備が進んで便利になりましたが、当時はスリ置き引きの輩が徘徊していて、ちょっと剣呑なところだったと記憶しています・・・

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こんなスケッチもあります:

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スティッベルト庭園につながる道の先は、フィレンツェ市街の外へと続いているようです。
ちょうど、以前紹介したアルノ川の向こう側、ベルベデーレの辺りのように、道をそぞろ歩いて行くと家並みが途切れ、オリーブの木が並ぶトスカーナの丘陵地帯が見渡せるところに出ました。

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いってみれば、自然と都会の境界線のあたり、ということでしょうか。

ちょっと調べてみると、景色が良いせいかこのあたりはゆったりとしたお金持ち向けの家も多いようです。
市街地は歴史的建造物がひしめいているので、いまどきメディチ家でも豪邸には住みづらいでしょうが、郊外に近い広々としたエリアならでは、ということかもしれません。
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ところによっては遠く大聖堂のクーポラも望めるようです。
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こんなスケッチもあります:


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